HOME > VP RECORDS > NEWS > 2011/09

VP RECORDS NEWS | 2011 SEPTEMBER
8/26 update
01. STEELY & CLEVIE“新作”『MEMORIES』登場。
02. "JAH MESSENJAH" LUCIANO来日決定!


STEELY & CLEVIE“新作”『MEMORIES』登場。

STEELY & CLEVIE“新作”『MEMORIES』登場。ー「過去」と「現在」、そして「世代」と「世界」を結びつけた男達ー。

STEELY & CLEVIE『MEMORIES』   「STEELY & CLEVIE名義の“新作”『MEMORIES』が登場ー」。09年にWYCLIFFE "STEELY" JOHNSONが他界したことを考えると、“新作”とは奇妙に思うかもしれないが、本作はSTEELY存命中にCLEVLAND "CLEVIE" BROWNEと共に制作に着手していた楽曲を、CLEVIEが作品として仕上げたものである。

  今年頭にリリースされた『REGGAE ANTHOLOGY - STEELY & CLEVIE - DIGITAL REVOLUTION』のボーナスDVDの中でも紹介されている通り、STEELYとCLEVIEは73年にAUGUSTUS PABLOによるHUGH MUNDELLの『AFRICA MUST BE FREE』のレコーディング・セッションで出会った。ハリー・Jのスタジオで出会った当時のSTEELYは11才、CLEVIEは14才だったいうのにビックラ。

  そして、バンド活動を経て、その二人がタッグを組むことになり、世界中をビックラさせることになるのは、〈JAMMY'S〉が中心となった85年からの「デジタル革命」時代。 ー 生音で録音・制作されることが中心だったレゲエ/ダンスホールに、初めて全面的にコンピューターを導入したとされるのが、85年の〈JAMMY'S〉制作の[SLENGTENG]リディム。KING JAMMYとWAYNE SMITHによって作られたもの。その爆発的な成功を機に、レゲエ/ダンスホール・シーンは大きくデジタルへとシフト、またデジタル導入によりリディムの制作時間&予算が短縮&縮小されたことで、リリース量が加速&急増、レーベル数も急増し、それまでの時代から大きく変化していくことになる。


STEELY & CLEVIE『DIGITAL REVOLUTION』  この「デジタル革命」の中心的レーベルは〈JAMMY'S〉だったが、それを支えたのは当時〈JAMMY'S〉の専属バンドに所属していたSTEELYとCLEVIE。『REGGAE ANTHOLOGY - STEELY & CLEVIE - DIGITAL REVOLUTION』のボーナスDVDには、STEELYとCLEVIEが〈JAMMY'S〉で制作した代表的デジタル・リディム[DUCK]の制作過程を再現してみせる貴重な映像が収録されているが、二人は85年〜87年にかけて〈JAMMY'S〉から[PUNANNY][CHINA TOWN][CAT'S PAW]他数多くのヒット・リディムを量産し、レゲエ/ダンスホールのデジタル化を押し進めた。


  88年に二人は〈STEELY & CLEVIE〉として独立。そこからの大活躍は『REGGAE ANTHOLOGY - STEELY & CLEVIE - DIGITAL REVOLUTION』に収録されている通りだが、94年に設立したスタジオ2000を拠点として、90年代のダンスホール黄金時代の中心的なレーベル/プロデューサーへと成長、 その頂点に君臨する。二人は同時期に〈JAMMY'S〉から独立したBOBBY "DIGITAL" DIXONの〈DIGITAL-B〉、天才トラック・メイカーのTONY & DAVE KELLYを擁したDONOVAN GERMAINの〈PENTHOUSE〉、デジタルへの移行に成功したSLY DUNBAR & ROBBIE SHAKESPEARの〈TAXI〉、またAUGUSTUS "GUSSIE" CLARKEの〈MUSIC WORKS〉、MIKEY BENNETTの〈2 FREINDS〉等と共に、デジタル・サウンドを進化させ、レゲエ/ダンスホールを大きく前進させることに貢献した。


  『REGGAE ANTHOLOGY - STEELY & CLEVIE - DIGITAL REVOLUTION』は、そうしたSTEELYとCLEVIEの89年代〜05年の〈STEELY & CLEVIE〉のアンソロジー的作品で、「DIGITAL REVOLUTION(デジタル革命)」の副題が付けられているのは、二人がその革命の立役者だったことと功労者だったことを示すとともに、二人への敬意が表されている。


  で、「デシタル革命の立役者で功労者」と書けば、STEELYとCLEVIEがどこか前時代を全否定した機械オタクみたいなイメージを与えるかもしれないが、それはKING JAMMYがよく[SLENGTENG]だけで語られるのにも似ているが、そんなに単純ではない。世界の音楽シーンがデジタル化を進めていく中で、それをレゲエ/ダンスホールに導入し、新たなる可能性を模索したパイオニアで挑戦者だったことは確かであるが、同時に二人はそれ以前の「過去」と、それ以降の「現在」を切り離すことなく、逆に結びつけていくことにも尽力した。


  STEELY & CLEVIE『MEMORIES』 それを示す代表的な作品が92年『STEELY & CLEVIE PLAY STUDIO ONE VINTAGE』。二人が往年の〈STUDIO ONE〉のオリジナル・リディムを二人の当時の最先端デシタル・サウンドを中心に生音を加える手法で完全リメイク、オリジナル・シンガーを起用・再演して仕上げた企画盤。STEELYとCLEVIEが、自らのデジタルを用いて「過去」と「現在」を結びつけ、過去のレゲエの遺産を現在に、そして未来へと受け継いでいく姿勢を明確に示した作品。シーンが加速して、「前へ、前へ」の時代にリリースされた作品。加速させることになった張本人達がリリースしたこともあって注目も高かった。で、本作が重要なのは、単なるリメイク作品ではなく、リアルに「温故知新」の意味を当時のシーンで広くに知らしめた名盤だったという点。

  二人が伝えた「温故知新」ー。その説明はFREDDIE McGREGORの言葉に借りる。STEELYとCLEVIEは、『STEELY & CLEVIE PLAY STUDIO ONE VINTAGE』の前年の91年にFREDDIE McGREGORの『NOW』をリリースしている。この作品の中でも〈STUDIO ONE〉他の過去のレゲエの名曲を「デジタル」で忠実にリメイクした楽曲を複数収録している。そのアイディアの主はSTEELYとCLEVIE。

STEELY & CLEVIE『MEMORIES』  『NOW』収録の「Prophercy」「Loving Pauper」「Africa (Here I Come)」「Stop Loving You」等のデジタル・リメイクは大ヒット。アルバム・リリース以前にシングルとしてヒットしていた。その時にFREDDIE McGREGORは「多くのユーツ達がそれをリメイクだとは知らなかったことに驚いた。どれもジャマイカのクラシックなのに、オリジナルの新曲だと捉えられた」「多くの大人達からは喜ばれた。懐かしさもあったが、若者向けのスラックネスやガン・トークのダンスホールばかりが流れていたから、彼らは聴くべき新しいものを求めていた」。

  この『NOW』収録の一連のヒットを受けて、FREDDIE McGREGORはあの『SINGS JAMAICAN CLASSICS』シリーズに着手し、世界的なヒットを記録する。そしてそれはDJ時代に突入して、多くのヴェテラン・シンガー達が埋没していく中で、FREDDIE McGREGORを「救った」シリーズともなった。そのきっかけを授けたのはSTEELYとCLEVIEだった。以前にFREDDIE McGREGORのバック・バンドのメンバーであった二人だった。


STEELY & CLEVIE『MEMORIES』  で、FREDDIE McGREGORの言う通りに、STEELYとCLEVIEによる過去のリメイクは単なるリメイクではなく、当時の最新として多くのユーツに受け入れられ、また大人達からも支持を集めてヒットした。特に『STEELY & CLEVIE PLAY STUDIO ONE VINTAGE』に収録されたDAWN PENNによる「No No No」はジャマイカだけなく、世界的に新曲として大ヒットを記録して、DAWN PENNも一躍「時の人」として復活した。


  STEELYとCLEVIEはただ郷愁とかでリメイクをしていたわけではなく、目の前の時代が必要としているものを見極めて、それを彼らの確かなセンスとスキルで甦らせてみせた。少年時代からその生音時代のレゲエに触れ、実際にミュージシャンとして活動していて、それぞれのリディムとアーティストと、その背景を身体で知っていたこと、その理解力が作品の質を高めて説得力を持たしたことも成功の理由と見る。そして、肝心なのは、単に「過去」を「現在」に再生しただけではなく、その両世代をも結びつけたということだ。「革命」によって生まれた世代感の断層を、音を通じて、再び結びつけてみせたということだ。「温故知新」だけではなく、その素晴らしさと大切さを彼らは作品を通じて教えてくれた。


STEELY & CLEVIE『MEMORIES』  そうした二人の「過去」と「現在」を結びつけた作品は、その後も色々と存在するが、その中でも有名なのは03年の『OLD TO THE NEW』。タイトルがそのまま「温故知新」となっているが、同作は80年代の〈JOE GIBBS〉の名曲をリメイクした企画作。この作品も『STEELY & CLEVIE PLAY STUDIO ONE VINTAGE』同様にオリジナル・シンガー達の再演があるが、最先端のアーティスト達も多数起用し、オリジナル・アーティストとのコンビネーション等、アーティストも「過去」と「現在」を結びつけることにもトライしている。そして、最先端アーティストだけによるリメイクも有り、その中でALTON ELLISのヒットとしても知られ、〈JOE GIBBS〉のMARCIA AITKEN & TRINITY版をリメイクした「SEAN PAUL & SASHA / I'm Still In Love With You」は、SEAN PAULの世界的ブレイク作『DUTTY ROCK』にも収録され全世界で大ヒットを記録した。90年代のDAWN PENNの時と同様に、再び「過去」と「現在」と「世代」だけではなく、「ジャマイカ」と「世界」を結びつけてみせた。



  既に「前置き」と呼べないほどに長くなったが、“新作”『MEMORIES』は、こうしたSTEELYとCLEVIEが継続してきた「過去」と「現在」を結びつける作業の中で作られてきたものだ。


WINSTONE 'MERRITONE' BLAKE   タイトルの「記憶」には、STEELYと共にした時間の「記憶」と同時に、STEELYとCLEVIEが愛した過去の音源の「記憶」の意味も込められている。内容の詳細は曲リストを確認してもらうとして、その大半はジャマイカの過去の名曲・佳曲となっている。二人がその後にミュージシャン/プロデューサーとして活動していく支えとなり、インスパイアされ、その原点ともなったクラシックばかりとも言えるかもしれない。そういう意味ではこれまでもよりパーソナルな作品とも言えそうで、これまでの現行シーンを意識したプロデューサー的な目利きは際立っていないのかもしれない。ユーツ世代よりも、同じ時代を歩んできた仲間達に向けられている感も強い。また本作のエクゼクティヴ・プロデューサーをVP RECORDSが務めているが、「盟友STEELYを失い、自分の音楽人生の困難な状況と立ち向かっている自分を改めて音楽制作に向かわせてくれたコトに感謝する」とCLEVIEも発言している通りに、コレまでとのソレとは違う状況で作られた作品であることは間違いない。また殆どの楽曲をこれまでのSTEELYではなく、CLEVIEの兄弟でもある〈MAIN STREET〉のDANNY BROWNEがミックスを手掛けているが、CLEVIEの彼への「お前は真のミックス・マスターだ。そしてお前だけがSTEELYのミックスを知っている」との言葉にCLEVIEの喪失感の強さも伺える。これまでのソレとは違うし、CLEVIEも〈STEELY & CLEVIE〉としてのCLEVIEではないこと理解していることを想像させる。ただ、それでも「新曲」として有効な楽曲は多く、新たに出会う過去の魅力も十分だと思う。〈STEELY & CLEVIE〉としてのソレは存在していると思う。


WINSTONE 'MERRITONE' BLAKE   そして、ジャケットの裏面にはWINSTONE 'MERRITONE' BLAKEの写真が掲載されている。本作の制作には関与していない人物だ。この人物は、60年代半ばにジャマイカでサウンド・マンとして活動していた。サウンド・マンと言っても、ターン・テーブル一台で、一枚一枚レコードをプレーして、そこで販売もしていた。〈FEDERAL〉をはじめとする各レーベルやプロデューサーの「宣伝マン」として、委託されていたレコードを売り歩いていた。キングストンのダウンタウンのバーとかを拠点としていたが、アップ・タウンにも出向いて売り歩いた。ゲットーで生まれたスカ、ロック・ステディが当時のジャマイカのラジオ他でプレーされることは少なかった。ゲットーと「断層」のあるアップ・タウンでは、聴かれることも少なかった。その自国で生まれた音楽をゲットーからアップ・タウンまで売り歩いた。80年代までずっと売り続けていた。そうして音楽は島に広がって、やがてゲットーの人達もアップ・タウンの人達も一緒に楽しみ、歌えるようになった。音楽で人々が結びついていった。MERRITONEはそれに大きく貢献したストリート・プロモーター。また、自身でもレーベル〈MERRITONE〉を興していて、今年に新宿ダブ・ストアから独占7インチ・シリーズとして再発されている(www.reggaerecord.com)。今回CD裏面にMERRITONEの写真を掲載したのは、その貢献を讃える意味と、彼が活躍した古き良き時代の「記憶」、人々が音楽で結びついていた時代の記憶が甦る作品であるということも表しているとのことだ。


  また本作にはボーナスDVDが付属されている。本作の制作の裏側を撮影した映像を収録している。CLEVIE自身が作品を語り、説明している。またCLEVIE自身がナビゲーターとなって、〈STEELY & CLEVIE〉の歴史を振り返り、キングストンの縁の地、各スタジオとかを周っていく激貴重映像が収録されている。コレは必見。この映像だけでも「映画」。レゲエの歴史が語られているドキュメンタリー。輸入盤につき字幕テロップはないが、十分に理解できて、伝わるものと信じるので確認してもらいたい。


STEELY & CLEVIE / MEMORIES


STEELY & CLEVIE / MEMORIES

VP RECORDS / CD+BONUS DVD / VP1844 /[LP Only] VP18441(without BONUS DVD)
US: SEP.6th OUT / IMPORTS

01. RICHIE STEPHENS / True Believer
DELROY WILSONの〈STUDIO ONE〉でのヒットをRICHIE STEPHENSでリメイク。

02. CORNELL CAMPBELL / Stars
CORNELL CAMPBELLが〈STUDIO ONE〉でのヒットを再演。

03. ED ROBINSON / If I Follow My Heart
ALTON ELLISの〈STUDIO ONE〉ヒットをED ROBINSONがカヴァー。DENNIS BROWN版も有名。

04. DENNIS WALKS / Margaret
DENNIS WALKSがHARRY MOODIEの〈HAM〉から74年にリリースした曲を再演。

05. ERROL DUNKLEY / You'll Never Know
オリジナルはTHE BEATLESの「I'll Be Back」。〈STUDIO ONE〉でカヴァー・ヒットさせたERROL DUNKLEYが再演。

06. JOHN HOLT / Never Never Never
オリジナルはSHIRLEY BASSEY。74年に自らの〈HOLT〉からリリースしたカヴァー・ヒットを再演。

07. VEGAS / A Little Love
オリジナルは73年のJAYE P MORGAN。JIMMY LONDONのレゲエ・カヴァー版が有名で、それをイメージしてVEGASがカヴァー。

08. LEROY SIBBLES / Sweet Talking
HEPTONESの〈STUDIO ONE〉ヒット。リード・シンガーのLEROY SIBBLESが再演。

09. AL CAMPBELL / Can't Stop Now
ALTON ELLISのクラシック・チューン。97年に〈STEELY & CLEVIE〉からカヴァー・ヒットさせているAL CAMPBELLが再演。

10. FREDDIE McGREGOR / A House Is Not A Home
オリジナルは64年のDIONNE WARWICK。ジャマイカで長く愛される「洋楽」FREDDIE McGREGORがカヴァー。本作の先行曲でFREDDIE McGREGORの自宅で撮影されたビデオも有。

11. CHANTELLS / Waiting In The Park
コーラス・グループCHANTELLSが78年に〈PHASE ONE〉からリリースしたヒットを再演。

12. KEN BOOTHE / Say You
オリジナルはBB SEATONで、KEN BOOTHEも〈SONIA POTTINGER〉からリリースしたヒットを再演。

13. STEELY & CLEVIE featuring DEAN FRASER / A House Is Not A Home (Instrumental)
10のインスト版で、DEAN FRASERがサックスで参加。

14. VEGAS featuring CONKARAH / A Little Love
7のリミックスでCONKARAH参加のコンビネーション版。

STEELY & CLEVIE BONUS DVD
▲ 本作の制作の過程を追った激貴重ドキュメント映像収録!CLEVIE自身がナビゲートし、キングストンのスタジオを回る〈STEELY & CLEVIE〉のヒストリー映像も有!必見!


Texted By: 八幡浩司(24×7 RECORDS, INC.)


pagetopへ戻る


VP RECORDS

NEW RELEASE情報
NEWS/LIVE/EVENT情報
2015 / 2014 / 2013 / 2012 / 2011 / 2010
02月 - ETANA 新作特集!
02月 - ELEPHANT MAN 新作特集!
05月 - CHINO - 世界進出盤登場!!
06月 - REGGAE GOLD 2011登場!
06月 - VP×GS×iTunes日本独自企画!
07月 - COCOA TEA来日情報!
08月 - iTunesキャンペーン!
08月 - 「カヴァーだよ、バカー野郎」(嘘)
09月 - STEELY & CLEVIE 新作登場。
09月 - LUCIANO来日決定!
10月 - I-WAYNE最新作登場。
11月 - STRICTLY THE BEST 2011盤!
12月 - REGGAE ZION×VP CALENDAR!
SHOPPING
ABOUT
CHAKU-UTA
DISTRIBUTION

Google www.247reggae.com

レゲエ・レーベル/プロダクションでVPレコード/グリースリーヴス/ビッグ・シップ等の海外レゲエ・レーベルの日本正規代理店
24×7 RECORDS | REGGAE TEACH ME EVERYTHING

Copyright(C) 2015 24×7 RECORDS All Rights Reserved.


OLD TO THE NEW [DELUXE EDITION] OLD TO THE NEW SEAN PAUL / DUTTY ROCK