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24×7RECORDS NEWS | 2012 OCTOBER
10/22 update
01. FREDDIE McGREGOR & BIG SHIP BAND JAPAN TOUR REPORT
02. FREDDIE McGREGOR & BIG SHIP BAND JAPAN TOUR〜後記
少し遅れた報告で申し訳ありません。9月14日&15日に東京、17日に名古屋のそれぞれBLUE NOTEで実施させて頂きましたFREDDIE McGREGOR船長の来日公演のご報告です。
今回の来日公演を実施することになった経緯は9月7日の「BLOG」に書かせて頂きました。事前にご確認頂ければ幸いです。
24x7 RECORDS / BLOG
http://blog.247reggae.com/?day=20120907
85年の初来日から30回近く来日している船長ですが、今回が初めての、そして念願の単独公演ツアーとなりました。「ジャマイカ独立50周年」と自身の「活動49周年」の記念作でもある最新作『FREDDIE DI CAPTAIN』の日本先行リリースに合わせて実施されたものですが、「作品が『記念作』となるのなら、『記念』となるショーをしたい。長く応援してくれている日本のファンにも『記念』となって記憶に残るショーをしたい」という船長の想いもあって、「新作リリース・バーティー」ではなく、現時点での船長の集大成的な内容のショーを実施することにしました。
実現するにあたっては問題も存在しましたが、船長の「もらうのではなく、与えに行く機会だ。気持ちも含めて返しに行くツアーだ」「日本の震災の時に行けなかったし、何かコレを被害に遭った人達の励ましにもしたい」「歌うことしか出来ないから歌いに行く」という想いによって実現に至りました。
そうした目的や意味を踏まえて、来日前に船長とショーのセット・リストを確認し合いました。船長から先に提示されたリストは「ベスト・オブ・船長」とも言える内容でした。過去から現在の自身のヒット/代表曲に加えて、自身が受け継ぎ、ライフ・ワークとして歌い続けているジャマイカの名曲も含まれていました。49年の活動期間には膨大な曲が存在するので、「アレも!」「アレは?」も勿論多数ありましたが、初期から現在までの世代を超えたファンだけではなく、初めて船長のショーを体験するビギナーも含めて誰でもが楽しめるであろう内容となっていました。
自身のヒット/代表曲に関しては説明がいらないと思います。ジャマイカの名曲も『SINGS JAMAICAN CLASSICS』シリーズに則ったものです。BOB MARLEYの「One Love」はビギナーを意識したものですが、「War」は来日直後から発言・危惧していた日中・日韓関係、シリア等の現状を受けて別曲と差し替えられました。「One Love」に加えて「Peace」のメッセージを含ませました。また、DENNIS BROWNの「Love & Hate」「Revolution」もそのメッセージ性も意識されてますが、それ以上に「DENNISの歌を誰かがちゃんと受け継がないと」と親友であったDENNISに対する船長の強い想いが存在しています。
「And So I'll Wait For You」他、「日本ではこの曲が特に人気だから」と追加してもらったものもありますが、ほぼ船長のリスト通りの内容となりました。
また、船長からは「新作のプロモーション」としてもっと新作からの曲を増やす案も出ましたが、「集大成」としてのバランスを重視しました。それに相応しい内容とした上で、新作からの曲数/曲目にしてもらうことにしました。船長に「個人的には宣伝臭さが出るショーが嫌です」と伝えたら、「新作のリリース・タイミングで行くんだぞ、いいのか?」と少し困惑されましたし、自身でも「作品をリリースして日々散々告知しておいて何を言ってんだろ?」とも思いましたが、それ以上に当初からの「集大成」を濁らせたくない想いが強かったです。
勿論、新作のプロモーションの大切さも理解していましたが、新作のリリース作業とセット・リストの確認等ショーの準備を同時にしている中で、新作と今回のショーの内容がどちらも「ジャマイカのレゲエ・シーンの創成期から現在までを常にその最前線で走り続けてきた船長」「ジャマイカのレゲエ、先人達の名曲と姿勢と精神を受け継ぎつつ自らを前進してきた船長」という意味では完全に合致していることに気付きました。新作もショーと同様にこれまでの活動の集大成的な要素で構成された記念作品だということに気付きました。「ジャマイカ独立50周年」だけでなく、「活動49周年作」と「49」という中途半端な数字にも関わらず合わせて打ち出したのも、ジャマイカの独立ネタに偏ったものでも擦り寄ったものでもなく、そのジャマイカでレゲエの歴史と共に活動してきた船長にとって集大成的な、特別な作品であるということを伝えたかったのもあります。
ゆえに直接的な部分としては薄くても、船長の「集大成」をそのままに伝えるコトが間接的にも新作のプロモーションと言うか、より新作の理解に繋がるとも思いました。ショーの現場に参加頂ける方は限られますが、新作を確認した上で参加した方にはそこで新作とショーの合致点を理解頂けると思いましたし、ショーに参加した上で新作を確認した方にもその合致点によって違和感なく楽しんでもらえるとも思いました。「なぜ新作はこの内容となったかをショーの内容で伝える」ことを考え、その上でこれまでの船長の歴史とやってきたコトを伝える内容を選択しました。ショーに参加したことによって、新作が単なる「新しい作品」ではなく、その人にとって「特別な作品」となれるように、より理解でき、親密なものとできるようにすることを理想としました。
今回の東京と名古屋の6公演(1日2公演)で、このリストに書かれた曲は全て披露されました。ただ、全曲が歌われたショーはありません。それは、リスト作成時から、「コレを基に後は当日の状況に合わせてリストの中から演る曲をその場で決めて行く」と多めに選曲していたからです。
そのため全公演少しずつ異なった内容となりました。事前にバンドとは打ち合わせもなく、ステージ上で船長が次に歌う曲やセグメントを指示して次々と進行していく感じとなりました。その円滑な展開から実際にそれに気付いた人も少ないと思いますが、毎回そうして行われていました。船長の「次は」と出す合図に何事もないように演奏を続けていけるバンドも見事でした。長く共に演ってきている経験と、来日前までツアーをまわっていた中で養われている船長とバンドとの「阿吽の呼吸」を感じました。
どの公演でも出来るだけ多くの曲を歌うことにしていました。BLUE NOTEさん側から伝えられていた「アンコールを含めて80分以内で」を大幅に超えて、出来る限りの曲を歌いました。その結果、その日の「2公演目/セカンド・ショー」の開始が遅れてしまったコトも、本編だけで時間を超えてアンコールをしなかったコトもありました。
また、全てのショーでリストには含まれていなかった曲を一曲歌いました。それは「琵琶湖周航歌」です。船長の長いファンにはお馴染みですが、船長が85年の来日した際に当時の滋賀市長(船長は「京都」と言ってましたけど、滋賀です)に教えられた曲です。85年の初来日は「レゲエ・サンスプラッシュ」で琵琶湖周辺で開催されたことでそうした機会があった様子です。船長はそれを日本語で歌いました。それを歌う前にMCで言う時と言わない時がありましたけど、「昨年から地震・津波・台風と様々な災害に遭い、苦しい想いをしている日本の人達に向けて」と「日本」への想いをその初来日の時に出会った思い出深い「日本の歌」を歌うことにしました。
全てのショーを観ました。どのショーも違った印象で、それぞれに違う良さが存在していました。ただ、その中でも個人的に特に素晴らしく感じ、今までに経験したことのない興奮と感動をしたのは、15日/東京/セカンド・ショーです。自分が現在までに観てきた船長のショーの中でも最高の内容でした。
前日/14日は熱演し過ぎたか、公演後には少し嘔吐してしまったりして、また時差ボケ/不眠等による疲労もあって、体調も喉もベストではなかったかもしれません。ただ、満席の観客のショー前からの異常なテンションと、登場と同時に総立ちとなった会場のエナジーが、そうした状況の船長を強く後押しして、またバンドも強固に船長を支えて、「素晴らしかった」では伝え切れない、猛烈で強力なヴァイブスが充満した最高のショーとなりました。エンジニアのJASON STERLINGの生での「抜き」「差し」の効いた音色も強力に「レゲエ」でした。
改めてショーがアーティストだけではなく、バンド、エンジニア、そして観客、の力もあって、そのエナジーのブツけ合いで生まれる一体感によって成立することを身体で再確認しました。また、観客だけでなく、照明スタッフは全曲踊りながらライトを操作していたり、ショーが見られない厨房でコックさんは踊りまくっていて、公演後には船長にサインを求めました。BLUE NOTEの担当者も「ウチの会場やスタッフがこんな雰囲気になるなんて何年振りなんだろう」と感謝に近い言葉を掛けて頂きましたが、そうしたスタッフの皆さんの熱も大きく貢献していました。その一体感はまさに特別でした。
セット・リストは存在しても、「決められた演目をその通りにやらない」、「その場の状況に応じて演る曲を決めていく」とした進行に加えて、観客やスタッフも含めた反応、会場内の空気感と共に作り出されていく状況によって、次に歌う曲は何になるのかも、どうショーが終焉に向かうのかも分からない感じとなりました。前日から観続けて4回目のショーでしたが、船長がどうその「行き先不明の航海」を操縦するのか読めない、ホントの意味でのライヴが目の前で起きていました。台本の存在しないドキュメンタリーが行われていて、それを観客等と共に自分も「乗船」して参加していました。その「航海」は公演は80分どころか、110分近くになっていました。
「ずっと見たかった景色」が存在していました。この来日ツアーに限らず、船長との付き合いが始まった時からずっと思い続けてきた景色を確認することができました。大声で船長と共に歌う人達、イントロと共に上がる無数の手、泣いている女性、以前に作らせて頂いた〈BIG SHIP〉Tシャツを着て背中の「SAILING ON THE OCEAN」のプリントを揺らしまくって踊る人、様々な人達のこの時までの様々な思いも溢れていたように思いました。よく知った仲間達のいつもとは違う表情もたくさん見えました。味わったことのない感情も感じました。少しステージ上の船長の勇姿が滲んで見えた瞬間が幾度もありました。「いつかこの景色を見たいね」と話して、それを見せられないままに逝った仲間のコトを思いました。その全てを受け止めるように全力で歌う船長の勇姿にまた泣けました。
東京での二日間の熱演で船長の喉は枯れていました。翌日のプロモーション日に生出演したラジオ番組を聞いてくれた仲間から「大丈夫なの?」と心配されましたけど、「寝起きだからあんな声」と言いつつも自分も翌日の名古屋公演を心配しました。
名古屋に向かう朝に船長の声は改善されていて、「モンダイナイ。あと、自分でも不思議なんだけど、ショーで頭の二曲位で戻るんだよ」と言ってました。確かにその通りでしたが、それでも自分には全快とは思えませんでした。しかし、それを自分と同じように思ったのか、バンドが演奏を東京と変えたことで違う魅力と印象を引き出してみせました。タイトに飛ばしまくる東京と変えて、ある意味よりルードにラフに重く演奏に変えることで、船長の声に合わせ、その状態をより活かす演奏を打ち合わせもないままにステージ上で判断して何事もないように実行してみせるバンドの力量に驚きましたけど、東京とは違ったより温もりのあるショーを披露してくれました。
名古屋には名古屋の仲間達に加えて、東京公演にも来ていた仲間達が複数来てくれていて驚きましたけど、彼らも「東京とは違う良さがあった」と言い、中には自分が「ベスト」とした15日/東京/セカンド・ショーよりも「名古屋のショーの方が良かった」と言った仲間もいました。新作の特典本『FREDDIE McGREGOR BOOK』を作ってくれた藤川毅さんは鹿児島から駆けつけてくれましたが、「船長の公演が悪いハズないじゃん」と笑顔でした。
「ずっと見たかった景色」とずっと待っていたその時間は「あっ」と言う間に過ぎてしまいました。呆気なくも思いました。船長が「49年間? 『あっ』と言う間だったよ」と笑ってましたので、そんなものなのかもしれません。ただ、その短い時間で得たものは大きいです。何か具体的に言えるものではなく、自分が感じた感触と感覚です。何も確かなものはないですけど、その確かに感じられたものを今後に繋げて行ければと思います、今は。船長と出会って、長い年月になります。何度も出会えたことに感謝してきましたけど、今回ほどそれを感じたことはありません。自分は与えてもらいました、船長の約束通りに。ショーや歌だけではないものを与えてもらいました。
特別な時間と機会と想いを与えてくれた船長にリスペクト。来日メンバー全員にリスペクト。東京公演に快く参加してくれたCOJIE君と、協力してくれたSAMI-TとMIGHTY CROWN FAMILYにもリスペクト。ワガママを受け止めて頂いて、実現させてくれたBLUE NOTEの浅師さん、小野さん、佐々木さん他全ての関係者の皆さんにもリスペクト。「またやりましょう」の言葉にもリスペクト。そのBLUE NOTEさんを紹介してくれた三好さんにもリスペクト。サポート頂いた仲間達にもリスペクト。
そして何よりも今回のツアーにご参加頂いた全ての皆さんにマキシマム・リスペクト。心から深く感謝・御礼申し上げます。皆さんのご理解とご協力で実現できました。本当に有り難うございました!
TEXT BY: 八幡浩司(24x7 RECORDS., INC.)
▲ 来日した翌日の9月13日は、NHK-BS1で放送中の『地球テレビ エル・ムンド』にゲスト出演。セットの中の“クラゲ”に親子で感激。スタッフさんそっちのけの記念撮影…。
▲ 番組出演前のメイク室でのSHEMAさん。「ゴールド系のナチュラル・メイク」をオーダー。少し乙女になって照れてます。
▲ NHK移動中の社内での一枚。みんなで齧りついて見ているのは、船長ご一行の前に来日していたLEROY SIBBLESさんとDANNY BROWNEさんの『FREDDIE DI CAPTAIN』へのコメント・ムーヴィ。一同大爆笑の映像はこちらから。
▲ 後船も無事到着。「日本遠い…。」と本気で疲れたご様子の手前JASON STERLING。
▲ 撮るのも撮られるのも、カメラだーいすき♪ のSHEMAさん a.k.a. 大船家のパーコサン。
▲ 9月16日、日曜お昼のラジオ番組『TOKIO HOT100』生出演のため、J-WAVEのスタジオのある六本木ヒルズにて、船長、スカイツリーと東京タワーを一望し感服。
▲ ラジオ出演前のリラックス・モード。疲れを一切見せない意識の高さもとてもご立派です。
▲ ナビゲーターのクリス・ペプラーさんとの一枚。ありがとうございました!日曜お昼のひとときはMac Cafeをお供に。
▲ TOWER RECORDS 渋谷店さんを突撃訪問。『FREDDIE DI CAPTAIN』の看板にサインさせて頂きました。どうもありがとうございました!
▲ この日のコーディネートでもお世話になっているNESTAさんの前でスタッフの皆さんと。RESPECT NESTA!!!
▲ 『Riddim Online』でインタヴューを担当してくださったライターの大石始さんと。記事はこちらからご確認を!
▲ 続いてFM YOKOHAMA『BAYSIDE REGGAE LOUNGE』の出張収録。DJ BANAさんご持参のLPレコードにトークが盛り上がりました。
▲ 9月17日 最終公演に向け名古屋へ出発。貴重な新幹線での“修学旅行”ショット。
▲ いつでも笑顔を絶やしません。そして整列乗車も乱しません。
▲ 9月18日 最終日。出国日の朝に入ったうどん屋さんで。「余った日本札について」という絵です。
▲ 今回のクルーTシャツです。着用して公演に来てくださった方々もありがとうございました!船長もお気に入り。僅かですが、弊社ショッピング・サイトでまだご購入可能です。