↓写真をクリックすると拡大表示します。 SEAN PAUL SEAN PAUL/IMPERIAL BLAZE
SEAN PAUL/IMPERIAL BLAZE
Atlantic / VP / WPCR-13621

 えー、今回の『JUST MY IMAGINATION』は先日のSEAN PAULの来日公演のコトをダラダラといっときましょ。

 今回の来日は06年以来。今夏に約4年振りで通算4作目となる新作『IMPERIAL BLAZE』をリリース直後、その勢いに乗った絶好のタイミングでの来日公演となりました。

 SEAN PAULとは前回の来日ツアー以来の再会。相変わらず色男でクールな伊達男。まっ、素直に「なんか格好良いよな」と。ただ、ちょうど自分と居たところをマイ・デザイナーのモローが見ていて、感心するように「SEAN PAULって、あんなに顔小さかったっけ?」とホザいたのにはなんかイラっ。わかっていてもイラっ。まっ、ただ、オッサンと一緒なら誰でも色男で、顔も小さく見えるんだろうけど、確かにSEAN PAULはかなり際立つな。完敗で惨敗、言うまでもなく。

 とりあえず、元気そうでなにより。スターならではの独特なオーラもたっぷり。チト洗練されたスマートな感じが特別。そのオーラのままに「よー、久しぶり、元気? 変わりない? 日頃のサポートに感謝してるよ」とサラッとスマートにサングラス越しに言われると、なんかこちらも「ああ、へぇ、まぁ」となんか押されちゃう感じで不細工極まりねぇな。年下なんだけど、憧れるぜ。でも、その仮面ライダーみたいなギラギラなサングラスされてると、どこ見て話していいか分からんな。

 今回のツアー・メンバーは前回と言うか、初めての時からほぼ変わりなし。ダンサー嬢には入れ替えもあったかもしれないけど、ほぼバンド・メンバーも、スタッフも変わりなし。ココのチーム・ワークは相変わらずタイト。プロフェッショナル集団な感じ。ややルードなのは、タバコ好きのボディ・ガード、仕事が出来るツアー・マネージャー、それと、SEAN PAULの実弟で、ステージではサイドMCも務めて、ジャマイカではCOPPER SHOTの中心構成員としても活躍するJASONぐらいかな。それでもみんなどこか十分に上品なんだけど、他と比べて。まっ、手間要らずの人達ですな。ジャマイカ以外の世界での経験も豊富ですし、なんか変にハシャがない人達ですな。で、個人的にはツアー・マネージャーの持つ空気感が好き。細かいんだけどテキトー。そのバランスもだけど、人に与える柔らかな印象と隠れた気遣いは見習いところ。接遇。

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SEAN PAUL SEAN PAUL SEAN PAUL SEAN PAUL SEAN PAUL SEAN PAUL SEAN PAUL

 そして、肝心な今回のショーですけど、期待通りに「So Fine」「Press It Up」「Hold My Hand」とか、新作『IMPERIAL BLAZE』からの曲は勿論、『REGGAE GOLD 2009』収録のESTELLとの「Come Over」とか、STEPHEN McGREGOR制作の〈TREMOR〉リディムの「Watch Dem Roll」とか、前作の『THE TRINITY』以降、現在までにリリースされたヒット曲も数多く披露してくれました。で、それらに加えて、「Get Busy」「Like Glue」「I'm Still In Love With You」、「Ever Blazin」「We Be Burnin」他、世界的なブレイクとなった『DUTTY ROCK』と『THE TRINITY』からのヒット曲も演った感じ。まっ、現時点でのベスト選曲ライヴといった感じかな。詳しくはセット・リストを確認して。

 で、曲によってバンドをバックにしてたり、セレクターだけで演ってたりと分かれていましたけど、その中で新作からの曲はセレクターと演ってたのが多かったので、勝手に「新曲はまだバンドとのリハが十分ではないからか?」と思ったりもしましたけど、どうも新作リリース直後だけに、より新作のイメージ通りに伝えるためにそうした選択をした様子。

 で、このバンドとセレクターが間髪入れずにドンドンと曲を展開、MCも少なめでドンドンとショーは進んでいく感じ。で、その次々と展開されていく曲のほとんどがヒット曲だったり、人気曲というのが、なんともSEAN PAULでスゴいところ。そんで、サイドMCの煽りも(若干煽り過ぎかな)、4人の女性ダンサー達(彼女達はスゴ過ぎ!)も華を添えて、聴かせるだけではなく、ガッチリと観せるエンターテイメントになってました。公演時間は1時間半ぐらいで「あっ〜」と言う間だったんですけど、その時間と空間を覆った独特な華やかさと明るさこそが、SEAN PAULならではの持ち味と個性で、世界から幅広く愛されている理由なんだろうな、と確認した感じ。

 えー、とココまで書くと「楽しいショーでバンザーイ」ですけど、実際にはそこまで「優しい」ものではなかったと思います。

 うん、今回の公演がこれまでの来日公演とは大きく異なっていたのは、前記した通りに間髪入れずにドンドンと曲を展開していった点。これまでの来日公演は所謂「発表会スタイル」で、1曲1曲を結構頭から最後までしっかりと演って、それで次にいく、といった感じで、MCでも「ジャマイカ」をレペゼンしたり、「ジャマイカ」や「レゲエ/ダンスホール」を“伝導”する演出時間とかも取り入れていたのですが、今回はそういった部分を排除して、逆に性急に感じさせるぐらいに、曲も次々と切って次から次へと展開していく構成になっていました。勿論、ヒットも代表曲も増え、客のニーズに応えるべくたくさんの曲を演らないといけない、やりたい、という思いもあったのかもしれませんが、以前の「分かり易さ」、それはレゲエ/ダンスホール・マッシヴにとってはやや照れ臭くなる「分かり易す過ぎるぐらいの分かり易さ」でもあったのですけど、それは薄れ、伝わる華やかさや明るさはそのままにしても、「発表会」からよりダンスホール・マナーな「ライヴ」へと大きく変貌していました。

 で、それによって観えたのは、これまで以上に荒々しく、そして生々しいSEAN PAUL。ある意味、「よーやく、その正体が観えたどー」な感じで、もしかしたらこれまでのような優しく、丁寧な「発表会」を求めていた人達にとっては「えっ?」で、ダンスホール免疫度が低い方には、伝わり切らない部分もあったのかもしれないですけど、個人的にはその荒っぽさを前面に、??時に声も出なかったり、リディムに乗り切れなかったり、ハズしまくってても、とにかく前へ、前へと、ガムシャラにマイクを握り続ける姿に発見がありました。

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■SEAN PAUL@TOKYO STUDIO COAST (OCT.17th 2009) / SET LIST
01. Intro
02. We Be Burnin
03. Ever Blazing
04. Give It To You
05. Lace It
06. Private Party
07. Don't Tease Me
08. Gimmie The Light
09. Like Glue
10. Baby Boy
11. So Fine
12. Head In The Zone
13. Eye Deh A Mi Knee
14. Straight Up Right Up
15. Break Out
16. Press It Up
17. Never Gonna Be The Same
18. I'm Still In Love With You
19. Punkie
20. Hold My Hand
21. Come Over
22. Now That Got Your Love
23. Break It Off
24. Watch Dem Roll 〜 She Wanna Be Down
25. Get Busy
 +
26. Give It Up To Me
27. Deport Dem
28. Lately
29. Temperature

 観ていて、序盤でこれまでとの大きな違いに「オイ、オイ、なんでそんなに前のめりに突っ込むの? もっと落ち着いて演れば良いのに〜」と思ったのも事実、ただ、観ていくに連れて、そのこれまでに感じたことのなかったSEAN PAULの荒さ、ライヴ感、集中力、言わば「気迫」なんですけど、それに「そーゆーコトかー」と気付いた感じで、SEAN PAULが「世界のスター」であるのは間違い無いにしても、それ以前にジャマイカのダンスホール・アーティストってコトを再確認出来た感じ。それを前面に伝えてくれる文字通り生々しいライヴでした。で、誤解を怖れずに書けば、これまでの来日公演に対して感じていた物足りなさの理由も確認出来た感じ。

 で、よくよく考えてみたら、新作『IMPERIAL BLAZE』もそうなんですけど、これまでずっと、SEAN PAULは全て作品をジャマイカで制作して、そのままに「世界のスター」に上り詰めた人。ジャマイカのダンスホールをそのままに世界に伝導してきた、当たり前だけど、そのままにジャマイカのダンスホール・アーティスト。様々な他ジャンルのトップ・スターから客演を依頼されて参加はしているけど、自身の作品にはなるだけそれらを排除して(『IMPERIAL BLAZE』もゼロだよ)、そうした宣伝・販促効果のあるビッグ・コラボには頼らず、あくまで自身と自身が拠点とするジャマイカのダンスホールをそのままに世界に届けて勝ち上がった人。『IMPERIAL BLAZE』にSTEPHEN McGREGOR、DON CORLEON、AR??IF COOPERとか最新ジャマイカ・シーンのトップ・プロデューサーとの曲を詰め込んだのも、世界に旬なジャマイカのダンスホールを伝える目的も意図もあったハズ。そのダンスホール・アーティストとしてのプライドと根性と意地とメンツを考えれば、今回のショーはある意味当たり前のコト。逆に世界的なブレイクで『ジャマイカ/ダンスホール大使』を担い、自らもが背負い込んでいた以前のショーは、彼にとってはもしかしたら窮屈だったのかもしれない。

 で、今回のショーを観てて、「『ジャマイカ/ダンスホール大使』もいいけど、そろそろもう少しディープなところにいこか。付いて来いや」と客を促し、誘導しようとしていたような気にもなった。で、さらに、もしかしたら、SEAN PAULは大きなターニング・ポイントを向かえようとしているのかもしれない、「世界のスター」から次に行こうとしてるのかな、ココからがさらに要注目だなと、勝手に想像した感じ。まっ、ライヴ観戦とは想像力と妄想力の鍛錬するってか楽しむ場でもありますので、ステージと自分の間のやりとりの回答は個々に自分で勝手に考えればよろしくて、正解なんてのも存在しないで、そうやって勝手に考えて楽しむんです。ええ、個人的にはそんな感じだったかな、と。

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 ショーの後に、楽屋で顔を合わせるなり「どーだった?」とSEAN PAULに聞かれたのですけど、逆に自分の感想を伝える前に、彼自身がどう思っていたのかをそのまま知りたかったので、質問には答えずに「どーだった?」と聞き返しました。すると即答で「出来ることはやった、それしかない、出来るだけのことをやる、ベストに。いつもそれしかない。自分の気持ちのまま、ヴァイブスのまま、それにしか出来ない。それで気に入ってもらえたら嬉しいけど、それは自分にはわからない。だから『どーだった?』とも聞きたくなる」と、ショーの前よりも格段に柔らかくなった表情で言われました。

 その回答に誠意を感じましたし、信頼が増しました。最善を尽くしたものであるのなら、それ以上何も知らんでいい。それで十分っす。あと、この夜の前日に予定されていた公演が「事故」で中止となり、SEAN PAUL自身がそれに凹み、その分の気持ちもあってかショー前に放っていたピリピリとした緊張感から解き放たれた様な柔らかな表情になっていたのにもなんか勝手に安堵。で、「その気持ちは伝わっていると思うし、ベストを尽くしてくれたことに感謝してる」と短く答えたら、「こちらこそ感謝してるんだ」と言われました。そして、握手して別れました。「よーし、帰ろ。ホテルに戻ってシャワーを浴びたら、ドンキ・ホーテに買い物に行くんだ」と会場を後にしてました。

 えー、良い時間でした。SEAN PAULとそのクルーに感謝を。そして、来日に尽力頂いた皆さん、あとワーナー・ミュージックの小野さんにも感謝を。

 そんな感じ。ではでは。

八幡浩司(24×7 RECORDS., INC.)

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